漢方比較シリーズ:抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違いってなに?

漢方比較
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かんぽす
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今回は使い分け・違いがわかりづらい代表といえるふたつの方剤について解説していきます。

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構成生薬の違い

抑肝散
柴胡(サイコ)
釣藤鈎(チョウトウコウ)
蒼朮(ソウジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
当帰(トウキ)
川きゅう(センキュウ)
甘草(カンゾウ)
抑肝散加陳皮半夏
柴胡(サイコ)
釣藤鈎(チョウトウコウ)
蒼朮(ソウジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
当帰(トウキ)
川きゅう(センキュウ)
甘草(カンゾウ)
陳皮(チンピ)
半夏(ハンゲ)
字のごとく抑肝散の構成生薬に陳皮・半夏の2味が加味されているものが抑肝散加陳皮半夏です。

使い分けのポイント

加味されている陳皮半夏の効能を理解すると使い分けができると思います。

またここでは西洋医学的な考えと東洋医学的な考えにおける使い分けの違いについても説明してみたいと思います。

西洋医学的な考えにおける使い分けの場合

抑肝散の構成生薬にある当帰・川きゅうには胃腸虚弱なかたには食欲不振、悪心、嘔吐、下痢などの胃腸障害が現れる可能性があります。

それに対して陳皮は健胃作用、半夏は鎮吐作用などがありため胃薬としての効果が期待できます。

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痛み止めは胃が荒れやすいから胃薬を一緒に飲むといったのと同じようなものと考えてみていいと思います。

このため胃腸虚弱の患者には抑肝散加陳皮半夏が選ばれやすいです。

東洋医学的な考えにおける使い分けの場合

まず初めに理解していなければならないのは抑肝散がどのような症状にも用いる方剤であるかということです。

簡潔に言ってしまえば興奮を抑える方剤です。

かんかん(怒っている様)を抑えると考えると覚えやすいです。

興奮を抑える方剤なのでイライラ、神経症、不眠、癇癪などの症状に用いられます。

抑肝散の名前の由来は『肝』を抑制するという意味です。

東洋医学における『肝』というのは気を全身に巡らせる機能をもっている臓器なので肝に気が滞る(肝気鬱結)と精神症状が現れます。

肝気鬱結に対しては柴胡の入っている抑肝散が効果的です。

抑肝散に理気作用のある陳皮・半夏が加味することで気鬱に対しての効果が増しています。

抑肝散は怒り・興奮などの急性症状に効果的ですが、怒り・興奮が慢性化する場合には脾胃も弱り、抑うつなどの症状も現れやすいので陳皮・半夏の入っている抑肝散加陳皮半夏が選ばれやすいです。

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