漢方解説シリーズ:76-竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)【薛氏医案】

漢方解説
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この方剤は出典によって構成生薬が異なっている方剤です。

今回は薛氏医案(せっしいあん)を出典とした竜胆瀉肝湯を紹介します。

薛氏医案のほかに一貫堂を出典とした竜胆瀉肝湯もありますがそちらは別ページにて紹介します。

薛氏医案出典の医療用漢方方剤の竜胆瀉肝湯を製造しているメーカーはツムラ、三和、ジュンコウ、太虎堂、東洋です。

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名前の由来

主薬を竜胆とし、肝経の走る組織の湿熱を瀉するという意味から名づけられている。

肝経とは気が巡るルートである経絡のひとつで、足の親指から足の内側を通って下腹部に入り、生殖器を巡り、上がって肝臓に達するルートです。

構成生薬

  • 竜胆(リュウタン)
  • 黄ごん(オウゴン)
  • 山梔子(サンシシ)
  • 木通(モクツウ)
  • 車前子(シャゼンシ)
  • 沢瀉(タクシャ)
  • 当帰(トウキ)
  • 地黄(ジオウ)
  • 甘草(カンゾウ)

甘みもあるが苦く、えぐみがある

方剤解説

薛氏医案の竜胆瀉肝湯は五淋散の加減方で、茯苓・芍薬・滑石を除き、竜胆を加えたものです。

また名前の由来にあるとおり基本的には下半身、主に泌尿生殖器の炎症を除き、利尿する方剤です。

竜胆

竜胆瀉肝湯の主薬である竜胆はリンドウ科リンドウ属の多年生植物のトウリンドウの根を乾燥させたものです。苦くて有名な熊胆(ゆうたん=熊の胆のう)よりも苦いことから熊より強い竜にちなんで名前がつけられています。

清熱作用があり、肝胆の火を瀉し、下焦の湿熱を除きます。


車前子、木通、沢瀉利水作用をもつ生薬です。それぞれ利水作用に加えて車前子、沢瀉には清熱作用、木通には抗菌作用があります。

竜胆、黄ごん、山梔子清熱作用のもつ生薬です。黄ごんには抗菌作用、利尿作用、山梔子には止血作用もあります。

当帰、地黄補血・活血作用のある生薬です。

当帰は血を補い、巡らせ止痛作用を示します。

地黄は清熱作用、滋養強壮作用、止血作用なども有しています。胃腸障害の副作用が起きやすいので注意が必要です。

利水し、炎症を抑え、血を巡らせる竜胆瀉肝湯は急性の泌尿器疾患の治療に適しています。

アトピー性皮膚炎

基本的には泌尿器疾患に用いられる竜胆瀉肝湯ですが、利水・清熱・滋陰作用を有しているので湿熱症状の強いアトピー性皮膚炎やそのほか皮膚疾患にも用いられます。

皮膚のジュクジュクした化膿状態を改善し、皮膚の赤み、かゆみを改善します。皮膚の乾燥にも効果が期待できます。

竜胆瀉肝湯の適している人は?

泌尿生殖器の急性炎症のある人

湿熱症状の強い皮膚症状のある人

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