漢方解説シリーズ:55-麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

漢方解説
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名前の由来

構成生薬である黄、仁、草、膏の頭文字をとって名付けられた。

構成生薬

  • 麻黄(マオウ)
  • 杏仁(キョウニン)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 石膏(セッコウ)

わずかな甘みと強い渋み

方剤解説

麻黄を主薬とした方剤は『麻黄剤』を呼ばれており、麻杏甘石湯も麻黄剤の一種です。 麻黄は東洋医学的に発汗、解熱、止咳、利尿、鎮痛の作用があると言われています。

麻黄の主成分はエフェドリンという交感神経興奮作用をもった成分です。 日本の近代薬学の開祖と呼ばれる長井長義が明治18年(1885年)に麻黄から抽出したことでも有名です。

麻杏甘石湯における麻黄の役割は交感神経興奮作用に気管支拡張で、咳を鎮め、呼吸を楽にします。

カフェインも交感神経興奮作用があるので麻黄剤を服用中はコーヒー、緑茶、紅茶などカフェインの多いものは控えるように。
杏仁はバラ科の杏の種子を乾燥させたもので、止咳、平喘、去痰、通便の作用があります。
杏仁には苦味のある苦杏仁と、甘味のある甜杏仁があり、苦杏仁は生薬として、甜杏仁は食材として使われます。杏仁豆腐に使われているのは甜杏仁です。
去痰・止咳作用をもった杏仁は苦いため、甘くして食べやすく加工したものが杏仁豆腐のはじまりと言われています。
 
甘草は痛み・炎症を緩和させる役割を持っています。
 
石膏は天然の含水硫酸カルシウムを主とする鉱物で、炎症を鎮め、乾燥を潤す作用があります。

麻杏甘石湯が適している人は?

体力のある人の喘息症状やのどの腫れや乾燥、痰がらみなどを伴う激しい咳症状のある人

麻黄は胃に負担をかけるので胃腸虚弱の方には適しません。
 
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