漢方解説シリーズ:92-滋陰至宝湯(じいんしほうとう)

漢方解説
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名前の由来

陰を滋養するのに宝のような効能があることから命名された。

陰を滋養するとは、発熱・炎症による脱水や低栄養状態、貧血などを改善することを意味しています。

構成生薬

  • 麦門冬(バクモンドウ)
  • 貝母(バイモ)
  • 陳皮(チンピ)
  • 柴胡(サイコ)
  • 知母(チモ)
  • 地骨皮(ジコッピ)
  • 香附子(コウブシ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 当帰(トウキ)
  • 麦門冬(バクモンドウ)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 薄荷(ハッカ)

少し芳香があり、甘み・苦みもそれほど強くなく、比較的飲みやすい。

方剤解説

本剤は血虚による不定愁訴に用いられる逍遥散の加減法と考えられます。

逍遥散の構成生薬は

  • 柴胡(サイコ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 蒼朮(ソウジュツ)≒ 白朮(ビャクジュツ)
  • 当帰(トウキ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 薄荷(ハッカ)

青いマーカーをした生薬は滋陰至宝湯にも含まれている生薬です。このことから男性よりも婦人に適している方剤であることがわかります。

滋陰至宝湯には青マーカーの生薬に、以下の生薬が加わっています。

陳皮・香附子→理気・健胃作用

知母 ・ 地骨皮 → 滋陰・清熱作用 ※ 地骨皮には滋養強壮作用もあり

麦門冬→ 滋陰・止咳

貝母→清熱・止咳作用 ※麦門冬&貝母で津液を補い、肺を潤します。

滋陰至宝湯が適している人は?

咳や痰が長引き、心身ともに消耗している方 ※特に婦人に効果的

滋陰降火湯を用いるほど陰虚による虚熱が強くない、慢性呼吸器疾患がある方