漢方解説シリーズ:25-桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

漢方解説
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名前の由来

構成生薬である桂枝と茯苓から名付けられているが、桂枝と茯苓が主薬というわけではなく、すべての構成生薬が均等な役割を果たしている。

構成生薬

  • 桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 桃仁(トウニン)
  • 牡丹皮(ボタンピ)

わずかに渋みと苦みがある

方剤解説

お血を改善する代表的な処方です。

※『お血』とは血の流れが滞っている状態のことを指す言葉です。

加味逍遥散、当帰芍薬散とともに婦人科で使われる3大処方のひとつですが、様々な疾患に効果をもつため男性にも使用されます。

構成生薬をみていくと

桃仁、牡丹皮は駆お血作用のある生薬で、血の滞りをなくし、巡らせます。

桃仁には潤腸作用もありますので、緩やかな作用で排便を促します。桃仁は桃の種子を乾燥させた生薬で種子中に含まれる植物油が便を柔らかくすると考えられています。

牡丹皮には清熱涼血のはたらきもありますので、体の過剰な熱を取り除く効果があります。

桂皮はニッキやシナモンなどの名称でよく知られている生薬で、体を温め、気を巡らせ、のぼせや冷えなどを改善します。

茯苓は体の水分のバランスを整える作用や精神を安定させる効果のある生薬です。女性に多いむくみやPMSの精神的な症状に効果があります。

芍薬は婦人科3大処方のすべて含まれる生薬で痛みを取る作用があります。また血を補う効果もあります。

一般的に桂枝茯苓丸は血行をよくする漢方のため体の冷えに用いられるイメージが強いですが、上記のように血や気の巡りを改善させるため顔がのぼせる方や、末端冷え性などにも用いられます。

月経トラブルでも桂枝茯苓丸はよく用いられます。

東洋医学において生理は気の力を使って全身から血を集めることで起こると考えられています。

そのため気や血が滞りがあると月経不順や月経困難が起こりやすくなります。

桂枝茯苓丸は気・血の巡りを改善させるため月経不順、月経困難に効果的な方剤です。

また芍薬も入っているので生理痛にも効果があります。

婦人科以外にも血行改善、筋肉弛緩、鎮痛作用があるため肩こりや打撲などの整形領域や血行不良などの循環器領域にも用いられます。

桂枝茯苓丸が適している人は?

血行不良による体の冷えがある人(冷えのぼせや末端冷え性)

上記の症状に加え月経痛、月経不順、月経困難、PMSや更年期障害がある人。

血行不良による肩こり、頭痛などがある人。