名前の由来
陰を滋し、火を降ろすという薬効から命名されている。
ここでいう陰とは『陰虚』のことで体を構成する水(血や体液)=陰液が不足していて、乾燥し、熱を持っている状態の事。
陰を滋するとは不足している陰を補い、陰虚を改善するという事です。
構成生薬
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 天門冬(テンモンドウ)
- 陳皮(チンピ)
- 知母(チモ)
- 黄柏(オウバク)
- 地黄(ジオウ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 当帰(トウキ)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 甘草(カンゾウ)
味
甘みはあるが、苦みが残る
方剤解説
名前の由来でも説明した通り、乾燥を潤す方剤で滋陰剤のひとつです。日本においては島国であることから湿気が多いため、潤す方剤というのは数少ないです。
陰は冷やし、潤す性質があることから不足するとバランスが崩れ、相対的に陽が強くなります。
陽は温め、発散する性質があるため陽が強くなると体が乾燥し、熱を持ちます。
滋陰降火湯は四君子湯と四物湯の合方である八珍湯の加減法を基本した方剤です。
※四君子湯は脾胃を補い、四物湯は陰虚を補う方剤。
陽が強いため八珍湯から温性生薬の川芎・人参が除かれ、陰が不足していることから利水作用のある茯苓が除かれています。
またバクモンドウ、テンモンドウは津液を補い、オウバク、チモは熱を冷まします。
四君子湯は補気剤でもあることから滋陰降火湯も強くはないが、気を補う力があります。
陰は腎と深い関係があるのでこの方剤に加えて腎虚を改善する六味丸を併用すると優れた効果を発揮します。
滋陰降火湯が適している人は?
老人や虚弱体質の方で粘調で切れにくい痰があるもの。
咳や呼吸器疾患がが長引いた人。
のぼせや皮膚の乾燥や、便秘を伴う場合にもおすすめです。※すべて陰虚で起こる症状