漢方解説シリーズ:7-八味地黄丸(はちみじおうがん)

漢方解説
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名前の由来

八種類の生薬(八味)から構成されており、主役が地黄であることから名付けられた。

八味丸、八味腎気丸、金匱腎気丸とも呼ばれる。

構成生薬

  • 地黄(ジオウ)
  • 山茱萸(サンシュユ)
  • 山薬(サンヤク)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 沢瀉(タクシャ)
  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 附子(ブシ)

酸味、甘み、苦みが混じった味

方剤解説

六味丸、牛車腎気丸とともに補腎剤に分類される方剤です。

腎においては陽と陰のバランスが重要で陽に比べて陰が低下している場合を腎陰虚といいい、陰に比べて陽が低下している場合を腎陽虚と呼びます。

腎陽には陽気が関係しており腎陽虚の状態はエネルギーが不足し、足腰がだるい、下半身に力がない、下半身が冷える、夜中にトイレに起きる、おしっこの出やキレが悪いといった症状が起きます。
腎陰は陰液が関係しており腎陰虚の状態ではうるおいや栄養が不足し、のぼせやすい、目が疲れやすい、目がかすむ、といった症状が起きます。

八味地黄丸は主に腎陽虚に対する処方です。

次は各生薬に焦点を当てます。

主薬の地黄はゴマノハグサ科ジオウ属植物の根茎を乾燥させたものです。
止血、滋陰、補血、強壮の作用があります。
山薬、山茱萸も滋養強壮効果のある生薬なので地黄の働きを助けます。
茯苓、沢瀉は利水作用のある生薬で腎虚とともに起こる水滞症状を改善します。
牡丹皮は下半身の血液循環を改善し、附子、桂枝は体を温めます。
また腎は生命エネルギーである『精』を貯めている場所であることから老化現象に伴う症状のみならず、不妊治療にも用いられます。

八味地黄丸が向いている人は?

腎虚を伴う高齢者(特に腎陽虚)

不妊症(特に男性不妊症)

地黄は胃腸障害を引き起こす場合があるので胃腸虚弱の方には注意して用いるように。
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