漢方解説シリーズ:31-呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

漢方解説
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名前の由来

主薬である呉茱萸より名付けられた。

構成生薬

  • 呉茱萸(ゴシュユ)
  • 人參(ニンジン)
  • 大棗(タイソウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

辛味と渋みもある強い苦み

方剤解説

頭痛でよく用いられる方剤で、構成生薬は4種類とシンプルな組み合わせです。

生姜、大棗、人参はほかの方剤でもよく目にする生薬ですのでこの方剤で重要な生薬は呉茱萸であることがわかります。

呉茱萸はミカン科のゴシュユという植物の未成熟の果実です。

呉茱萸には健胃、利尿、鎮痛作用があるとされています。

また有効成分のヒゲナミンは強心作用があり、心拍を強め、血流量を増やすため、末梢の冷えを改善します。

生姜、大棗、人参も温性の生薬であるため呉茱萸湯は冷え症の人に適している方剤です。

熱証の人に用いると悪化する場合もあるので注意が必要です。

呉茱萸には狭心作用があるため適用症に脚気衝心があると考えられます。

※脚気衝心とはビタミンB1不足で起きる脚気に併発する心臓機能の不全。

呉茱萸湯は片頭痛などの常習性頭痛によく用いられます。

片頭痛に対して西洋医学ではトリプタン系の薬剤がよく用いられますが、トリプタン系が無効な場合でも呉茱萸湯が有効な場合もあります。

また鎮吐作用があるため吐き気を伴う頭痛や、逆流性食道炎の呑酸、げっぷ、ひゃっくりなどにも有効な場合があります。

余談ですが呉茱萸湯にはヘリコパクター・ピロリ菌に対して効果があるという報告もあるようです。

呉茱萸湯が適している人は?

常習性の頭痛がある体力のない冷え性の人

※吐き気、肩こりなどを伴う場合にも効果的です。