漢方解説シリーズ:16-半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

漢方解説
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名前の由来

主薬である半夏と厚朴の名をとって名付けられています。

構成生薬

  • 半夏(ハンゲ)
  • 厚朴(コウボク)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 蘇葉(ソヨウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

甘くて辛い

方剤解説

理気薬(気を巡らせる)の代表ともいえる方剤です。

構成生薬を見てみると漢方の吐き気止めとして用いられる小半夏加茯苓湯(半夏、生姜、茯苓)に厚朴と蘇葉が加わっている方剤だということがわかります。

小半夏加茯苓湯は主に吐き気などの胃腸症状に用いられますが半夏厚朴湯は胃腸症状のみならず、精神的な症状など幅広く用いられます。

厚朴と蘇葉の役割を理解することが半夏厚朴湯を学ぶ上で大切です。

厚朴(コウボク)

厚朴はホオノキの樹皮を乾燥させたものです。

ホオノキというと聞き覚えがないと思いますが、朴の木の葉を使った朴葉(ほおば)味噌 という飛騨高山地方の郷土料理は聞いたことがあったり、食べたことがある人もいるのではないでしょうか。

朴葉はあぶるとよい香りがします。また防腐・殺菌作用があり、古くから食べ物を包むものとして食器代わりに使われてきたそうです。

厚朴は西洋医学的に 健胃、鎮痛、鎮痙、沈静、筋弛緩、中枢抑制、胃運動促進、腸管運動抑制、抗菌、抗潰瘍などに効果があると言われています。

東洋医学的には理気薬として知られている生薬です。

理気薬(=行気薬)は気滞(気鬱)を改善する薬です。

気滞の状態になると自律神経のコントロールがうまくいかず、精神的に不安定になります。イライラや不眠、頭重感などの症状が出やすくなります。 また、気は胃腸の動きにも影響するので気が滞ると吐き気やのどのつまり、お腹の張り、便秘など症状も引き起こします。

蘇葉(ソヨウ)

漢字を見るなんとなくイメージができるかと思いますが、蘇葉はシソの葉を乾燥させた生薬です。

紫蘇の葉も朴葉と同じように防腐・殺菌作用があることからお刺身のつまや長期保存する梅干しなどに使われてきました。

蘇葉には軽い発汗作用や健胃作用があると言われています。

また東洋医学的には厚朴と同様に理気薬として扱われています。

以上2種類の生薬が小半夏加茯苓湯に加わった半夏厚朴湯はより効果的な理気剤であることがわかるかと思います。

半夏厚朴湯が適している人は?

自立神経失調症と診断された人

動悸・不安・不眠などの症状がある人

のどのつかえ・異物感があるという人

※のどのつかえ、異物感のことを咽喉頭異常感症 (ヒステリー球、梅核気)といい、半夏厚朴湯の使用目標となっています。