名前がとっても似てるね
かんぽす
名前は違うけどぜんぜん違う使い方をするんだよ
そーなんだ
石と薏の字がなにか関係してるのかな
かんぽす
そのとおり!
今回は名前が似ているけどぜんぜん違う用途で使われる麻杏甘石湯と麻杏薏甘湯の違いについて解説していきます。
構成生薬の違い
麻杏甘石湯
- 麻黄(マオウ)
- 杏仁(キョウニン)
- 甘草(カンゾウ)
- 石膏(セッコウ)
麻杏薏甘湯
- 麻黄(マオウ)
- 杏仁(キョウニン)
- 薏苡仁(ヨクイニン)
- 甘草(カンゾウ)
どちらも麻黄を主薬とした『麻黄剤』に分類される方剤です。
1種類生薬が違うだけでまったく違った使い方をされるのは漢方の面白みのひとつと言えます。
石膏と薏苡仁
このふたつの生薬を理解することで麻杏甘石湯と麻杏薏甘湯の違いがわかってきます。
石膏
天然の含水硫酸カルシウム。
止渇・解熱・鎮静・鎮痙・利尿作用があると言われています。
ポイントは熱を冷まし、乾燥を潤す生薬であることです。
この効果のため石膏の入っている麻杏甘石湯は激しい咳や喘息などの気管支の炎症によく用いられます。
薏苡仁
ハトムギの種皮を除いた種子。
消炎・利尿・鎮痛・去湿作用があると言われています。
ポイントは余分な水を除去する生薬であるということです。
東洋医学において関節痛は余分な水が関節に留まり(水滞)、熱を持つ(湿熱)と考えられています。
このため薏苡仁の入っている麻杏薏甘湯は関節痛、神経痛などの整形領域でよく用いられます。薏苡仁を主薬とした薏苡仁湯という方剤も整形領域で用いられます。
また薏苡仁の生薬単品は水イボなどの皮膚科領域でも使われる生薬です。
まとめ
ひとつの生薬の違いではありますが一方は乾燥を潤す、もう一方は湿を取り除くという相反した作用の為、その使用用途は変わってくるわけです。