漢方比較シリーズ:小建中湯と大建中湯の違いってなに?

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今回は小建中湯と大建中湯の違いについて解説していきたいと思います。

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小、大がなにを意味しているのかを考えていきましょう。

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建中

『建中』には中(消化管機能)を建て直すという意味があるのでどちらも胃腸機能に関係している方剤であることは名前からもわかります。

『建中』という文字が入っている方剤は小建中湯、大建中湯以外にもあり、

小建中湯に当帰を加えた「当帰建中湯」、小建中湯に黄耆を加えた「黄耆建中湯」があります。

また小建中湯自体も桂枝湯をベースとした方剤で次のような関係性があります。

桂枝湯+芍薬→桂枝加芍薬湯

桂枝加芍薬湯+膠飴→小建中湯

桂枝湯が虚証向けの方剤であることからもわかるように小建中湯も虚証向けの方剤です。

構成生薬の違い

小建中湯

  • 桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 膠飴(コウイ)

大建中湯

  • 人参(ニンジン)
  • 山椒(サンショウ)
  • 乾姜(カンキョウ)
  • 膠飴(コウイ)

名前が似ている方剤ですが共通している生薬は膠飴のみです。

小建中湯と大建中湯の使い分け

まず先に結論がいいますと小と大というのは作用の強さを表しています。

大建中湯には共通している膠飴を除くと人参・山椒、乾姜といった3つの生薬が入っています。

人参は多くの補気剤に入っていることからもわかるようにで気を補う力の強い生薬です。
小建中湯にも補気薬として大棗、甘草が入っていますが人参と比べるとその効果は弱めです。
山椒は散寒薬に分類される生薬で体を温める効果があります。
小建中湯にも散寒薬として桂枝が入っていますが効果は山椒のほうが強いです。
乾姜も山椒と同様に散寒薬に分類される生薬です。
小建中湯に入っている生姜と同じ基原植物の部位を使用しますが加工方法が違います。
・生姜→生の状態から乾燥させたもの
・乾姜→蒸したあとに乾燥させたもの
体の中を温める作用は乾姜のほうが強いとされています。
以上のように同じような効能の生薬が入っている方剤同士ですがどの生薬をとってみても大建中湯のほうが作用が強いことがわかります。
作用が強いということは効きがいいという風にも思われますが安易な考えは危険です。
胃腸を温める力が非常に強い大建中湯を漫然と使用し続けると人によっては熱が過剰になり熱証の症状がでてしまう可能性があります。
東洋医学はバランスを保つことを重視する考えなのでなにごとにおいても過剰すぎるのはよくないということです。
腹部の術後のイレウス防止に大建中湯が用いられることが多いですがもともと熱証タイプの患者には漫然と使用を続けず、状態に応じて服用の中止も検討すべきです。
小建中湯は大建中湯に比べてマイルドな生薬で構成されているので小児の虚弱体質など比較的長期に服用していても安全です。ただし甘草は入っていますので偽アルドステロン症には注意しましょう。