花粉症の患者さんが増え始めてきた今日このごろ。
花粉症では抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬を使っている方が多いかと思います。
CMでもおなじみのアレグラも抗ヒスタミン薬のひとつです。
でも花粉症には漢方薬も有効なんですよ。抗ヒスタミン薬は眠くなりますが、漢方は眠くなりません。
今回は毎年多くの人を悩ませる花粉症に使える漢方薬を紹介していきたいと思います。
あなたの花粉症のタイプは?
花粉症の症状にもタイプがあり、そのタイプによって使われる漢方は変わってきます。
タイプは主に3つに分けられます。
①寒証の鼻水サラサラタイプ
②寒証の鼻づまりタイプ
③熱証の鼻づまり、どろっとした鼻水タイプ
①寒証の鼻水には小青竜湯!
寒証の鼻水サラサラタイプに適している漢方薬の代表が小青竜湯です。
花粉症で使われる最もメジャーな薬と言っても過言はありません。
小青竜湯は
麻黄(マオウ)
桂皮(ケイヒ)
芍薬(シャクヤク)
半夏(ハンゲ)
五味子(ゴミシ)
細辛(サイシン)
乾姜(カンキョウ)
甘草(カンゾウ)
の8つの生薬からなる漢方薬です。
作用を一言で行ってしまえば体内の余分な水分を取ってくれる漢方です。
花粉症による鼻水の症状は水毒とよばれる体の水分のバランス異常によって鼻から余分な水分がでているものと東洋医学では考えられています。
小青竜湯は利水効果によって水毒を改善し、鼻水の症状を改善していきます。
麻黄が入っているため抗ヒスタミン薬と併用すれば抗ヒスタミン薬による眠気が軽減できます。
小青竜湯で胃が痛くなる人には 苓甘姜味辛夏仁湯
花粉症による鼻水によく効く小青竜湯ですが欠点もあります。
構成生薬のなかに麻黄が入っているため胃腸が虚弱な方では胃が痛くなってしまう可能性があります。また高血圧、心疾患、不整脈の方も注意が必要です。
そんな場合には適しているのが苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)です。
半夏(ハンゲ)
杏仁(キョウニン)
五味子(ゴミシ)
細辛(サイシン)
茯苓(ブクリョウ)
乾姜(カンキョウ)
甘草(カンゾウ)
以上7つの生薬からなる漢方です。難しい漢方名ですが構成生薬をみるとそれぞれから一文字ずつ取っただけの名前ということがわかります。
構成生薬7つのうち5つの生薬が小青竜湯にも入っています。
麻黄が入っていない代わりに茯苓という生薬が入っていて、水毒を正し、鼻水の症状を改善してくれます。
麻黄が入っていないため虚弱な方、胃の弱い方などにも使いやすいです。
②寒症の鼻づまりタイプには 葛根湯加川きゅう辛夷
寒証の鼻づまりタイプには葛根湯加川きゅう辛夷がよく効きます。
冷えて症状が悪化するのがこのタイプです。
名前の通り葛根湯に川きゅうと辛夷とよばれるふたつの生薬が加えられている漢方です。
川きゅうは血のめぐりを改善する効果で鼻のうっ血をなくし鼻づまりを改善します。
辛夷は鼻のとおりをよくする効果があると言われています。
③熱証の鼻づまりタイプには荊芥連翹湯、辛夷清肺湯
熱証の鼻づまりタイプには荊芥連翹湯や辛夷清肺湯がおすすめです。
荊芥連翹湯は17種類の生薬が入っており、熱を冷ます(清熱)、膿をだす(排膿)、血のめぐりをよくするような効果があります。
上記のような効果があるため、花粉症だけではなく、蓄膿症、扁桃炎、アトピー、ニキビ、湿疹などにも効果があります。
辛夷清肺湯は鼻の炎症を抑え、鼻の通りを良くする事ため花粉症による鼻づまり、鼻水に効果があります。
辛夷清肺湯は蓄膿症(慢性副鼻腔炎)でもよく使用され、ドラッグストアではチクナインという商品名で売られています。
まとめ
・花粉症のタイプによって漢方は使い分ける
・寒症サラサラ鼻水タイプ→小青竜湯
・小青竜湯で胃が痛くなる人→苓甘姜味辛夏仁湯
・寒症の鼻づまりタイプ→葛根湯加川きゅう辛夷
・熱証の鼻づまり、どろっと鼻水タイプ→荊芥連翹湯、辛夷清肺湯
・漢方は眠くならない。抗ヒスタミン薬との併用もOK。