新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延により世界中で混乱が起きています。
まだ特効薬もないような感染症に対しては手洗い・うがい、消毒などの感染予防が重要です。
また、病気に負けない体=免疫力をあげることも非常に大切です。
今回は免疫力を上げるのを有効な漢方薬について紹介したいと思います。
西洋薬には免疫力をあげるという薬は存在しません。厳密にいうと白血球を増やす薬などは存在しますが白血病に用いられる薬で、健常な人には使用されません。
免疫力をあげるといったあいまいな事柄は漢方薬の得意分野です。
免疫とは
免疫ってなに?
生体防御機構のことで自己と非自己を認識し、非自己から自己を守る事だよ。
免疫には『獲得免疫』と『自然免疫』があります。
獲得免疫とは一度、水疱瘡にかかったら二度目はかからないといったように一度感染した病原体を記憶し、同じ病原体が入ってきたときに効果的に排除できるようになる仕組みのことです。『免疫ができる』といった表現は獲得免疫のことです。予防接種も獲得免疫を利用したものです。
自然免疫とは人が生まれつきもっている免疫のことで、病原体に対する最初の防御反応で感染が成立する前に排除する仕組みです。『免疫力をあげる』といった表現は自然免疫を指しています。
漢方薬が得意としているの免疫力をあげる=自然免疫の力をあげることです。
補気剤
東洋医学においては気虚(気の不足)が起こると免疫力の低下につながると考えられています。
つまり気を補う薬(補気剤)を使うことで免疫力を上げることができるということです。
補気剤の代表例として以下のような方剤が挙げられます。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 六君子湯(りっくんしとう)
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
補気剤は東洋医学の考えにおいて『脾』を補う薬と考えられています。
東洋医学における『脾』と西洋医学における『脾臓』はべつものです。
東洋医学での『脾』は消化吸収を担う器官で、食物から気や血や津液を作り出します。
脾が弱ってしまうと『気』をつくりだすことができないので気虚になり、免疫力も下がってしまうというわけです。
この考え方は非常に古くからあるものですが、現代医学においても腸は免疫と非常に結びつきが強いものだということが解明されています。
腸管免疫
体の免疫細胞の6割以上は腸管に存在していると言われており、腸内環境を良くすることは免疫力を上げるうえでも非常に重要です。
感染症を引き起こす細菌やウイルスは口や鼻から入ってきます。腸管は食べ物を消化吸収して全身に届ける器官のため、口や鼻から入った病原体まで吸収してしまわないように免疫の機能が備わってます。
この仕組みのことを腸管免疫と言います。
まとめ
・免疫力をあげるには気を補うことが大切
・気を補うには補気剤を用いる
・補気剤には補中益気湯、六君子湯、十全大補湯、人参養栄湯などがある。
・補気剤は脾≒胃腸機能を元気にするため、腸管免疫が活発になる(免疫力があがる)