梅雨が終われば本格的な夏がやってきます。
夏の暑さでだるくなったり、食欲がなくなったり、ひどい人では熱中症になってしまう方もいらっしゃると思います。こまめな水分補給も大事ですが、漢方でも夏バテを対策することができます。
今回は夏の時期に服用することで夏バテを予防できる漢方を紹介したいと思います。
夏バテとは
高温多湿の夏に体が順応せず、自律神経が乱れ、体がだるくなったり、やるきがでない、食欲不振になるなど夏に起こる体の不調のことです。夏負けや暑気あたりとも言われます。
清暑益気湯
夏バテ予防でまず紹介したいのは清暑益気湯です。
名前を見ただけでもなんとなく夏バテに効きそうな感じがすると思いませんか?
『清暑』とは暑さの原因を涼しくする、『益気』とは気の不足を補うという意味があります。
夏の暑さで弱った胃腸を元気にして、体に元気を与えます。
清暑益気湯には9つの生薬が入っています。
- 人参(ニンジン)
- 蒼朮 (ソウジュツ)
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 陳皮(チンピ)
- 黄耆(オウギ)
- 黄柏(オウバク)
- 当帰(トウキ)
- 五味子(ゴミシ)
- 甘草(カンゾウ)
人参は滋養強壮効果のある生薬で弱った胃腸機能を高め、体を元気にします。
また甘草・ 蒼朮 ・陳皮も胃腸機能を高めてくれます。蒼朮にはからだの水分循環をよくする効果もあります。
麦門冬は汗をかいて乾燥した体を潤す、熱を冷ます生薬です。
五味子+黄耆の働きで気を補うとともに皮膚を引き締め、過剰な発汗を防ぎます。
黄柏は清熱作用のある生薬で体の熱を冷やします。また過剰な水分摂取によって起きた下痢を止める効果もあります。
当帰は血を補い、巡らせることで体の乾燥や栄養状態を回復させます。
白虎加人参湯
次に紹介したいのが白虎加人参湯です。
先ほど清暑益気湯でも説明した人参が入っていることが名前からもわかります。
白虎とは中国の神話にでてくる四神の一つで、構成生薬のなかの主薬である石膏の白色と白虎をかけて名付けられています。
白虎加人参湯には5つの生薬が入っています。
- 石膏(セッコウ)
- 知母(チモ)
- 粳米(コウベイ)
- 人参(ニンジン)
- 甘草(カンゾウ)
石膏+知母 は体を冷やして潤いを与える作用があります。
粳米は胃腸の働きを高め、口の乾燥を潤します。ちなみに粳米とは玄米の生薬名です。
人参は滋養強壮効果のある生薬で弱った胃腸機能を高め、体を元気にします。
甘草は構成生薬を調和させる役割があります。
清暑益気湯と白虎加人参湯の使い分けは?
清暑益気湯は夏ばてによる倦怠感があるような状態に適しています。
白虎加人参湯は暑さによって体が火照ったり、口の渇きがあるような軽度の熱中症のような状態が適しています。