夏に風邪をひいた経験がある方はいませんか?
冬の風邪より長引きやすい夏風邪。
漢方薬で夏風邪のつらい症状を和らげ、免疫力を上げて早く治しましょう。
夏風邪の原因
風邪の原因の8割はウイルス感染だと言われています。
風邪=抗生物質と多くの人が勘違いしていることですがウイルス性の風邪に抗生物質は効きません。
抗生物質は細菌を殺す薬であって、ウイルスは殺す薬ではありません。
また風邪のウイルスは200種類以上あると言われており、その特効薬も現在はありません。
従って、風邪を早く治すには免疫力を高めることが大切です。
夏風邪を引き起こす2大ウイルス
① アデノウイルス(プール熱)
アデノウイルスと言うよりプール熱と言った方がよく知られているかもしれません。
プールで感染することが多いことから俗にプール熱(咽頭結膜炎) と呼ばれています。
子供が感染しやすいイメージですがもちろん大人にも感染します。
プール熱の症状
主な症状は結膜炎、咽頭炎、発熱の3つです。
高熱が1週間ほど続き、のどの痛み、眼が充血を起こします。さらに頭痛、はき気、腹痛、下痢を伴うこともあります。
② エンテロウイルス
子供の夏風邪の代表であるヘルパンギーナや手足口病はエンテロウイルスが原因のことが多いです。
エンテロウイルスは腸管内で増殖するため胃腸の症状を引き起こしやすいです。
ヘルパンギナーナの症状
2~4日の潜伏期間を経過し、突然の高熱が2~3日続き、喉の痛み・喉の発疹、水疱、口内炎などの症状が起こります。
喉の痛みが強いため、飲食を受け付けず脱水症状にもなりやすいので注意が必要です。
手足口病の症状
3~6日の潜伏期間を経過し、口の中や手足に2~3mmの水疱性の発疹がでます。
発熱も見られることはありますが、あまり高くならないことがほとんどです。
お子さんの場合には口の中の痛みで飲食を嫌がることがあるので夏場は脱水症に注意が必要です。
夏風邪の症状に効く漢方薬
夏風邪の原因となっているアデノウイルス、エンテロウイルスを紹介しました。
アデノとは「腺」=扁桃腺、エンテロとは「腸管」という意味があります。
従って、夏風邪はのどの痛みや吐き気・腹痛・下痢などの胃腸症状を伴うことが多いです。
次に、のど・扁桃炎、胃腸症状を和らげる漢方薬を紹介したいと思います。
のど・扁桃腺の痛み・腫れ・炎症には桔梗湯
桔梗湯は桔梗湯と甘草の2種類の生薬から構成されている漢方薬です。
桔梗と甘草は 「ゴホン!といえば龍角散」のキャッチコピーでお馴染みの龍角散にも入っている生薬です。
桔梗は排膿・去痰効果がある生薬でのどの痰や化膿を和らげます。
甘草は痛みや炎症を和らげます。
また、のどの炎症が強い場合には甘草ではなく炎症を鎮める石膏が入った桔梗石膏という漢方薬がおすすめです。
のどの症状が軽い場合には甘草1種類で構成されている甘草湯と呼ばれる漢方薬もあります。
喉・扁桃腺の症状に効く漢方薬のおすすめの服用方法(エキス剤の場合)
①エキス剤をお湯に溶かし、溶かした漢方でうがいをするようにして飲む。
もしくは
②エキス剤をそのまま口の中にいれて唾液で溶かし、のどに貼り付かせるように飲む。
桔梗湯、桔梗石膏、甘草湯は苦みのない漢方薬なので飲みやすいです。
吐き気・腹痛・下痢の症状には柴胡桂枝湯
柴胡桂枝湯は小柴胡湯と桂枝湯が合わさった漢方薬で胃腸症状を伴う風邪にぴったりの漢方薬です。
また参蘇飲という漢方薬も胃腸症状と伴う風邪に効果のある漢方薬なのでおすすめです。
夏風邪の予防・早期回復には補中益気湯
冒頭で説明したように、風邪の多くはウイルス性のもので特効薬がありません。
従って、夏風邪を早く治すには免疫力を上げることが大切です。
そこで免疫力をあげる漢方といえば補中益気湯です。
補中益気湯は補気剤のひとつで体に不足している『気』を補う漢方薬です。
気が不足している状態を『気虚』といい、この状態だと免疫力が低下していて風邪にかかりやすく、治りづらいです
補中益気湯を服用することで免疫力が上がり、夏風邪を早く治すことができます。
また補中益気湯は胃腸の働きも良くしているので夏場の食欲がない状態にも効果的です。