漢方解説シリーズ:35-四逆散(しぎゃくさん)

漢方解説
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名前の由来

四逆とは四肢が冷えて温まらない状態(逆冷)のことをいいます。

この方剤では四肢に気が行き届かず、体の中心部に気が溜まって起こる症状を改善することを指しています。

構成生薬

柴胡、芍薬、甘草、枳実の4種類

柴胡→解熱、健胃、鎮痛作用があり、免疫力を高め胸脇部の張りや不快感、炎症を取り除く。

芍薬→鎮痙、鎮痛作用で痛みを取り除く。

枳実→芳香性健胃作用で胸腹満や胸腹痛を取り除く。

甘草→痛みや筋肉の緊張を取り除く。

苦みと甘みが混じったような味で飲みづらい

方剤解説

構成生薬からもわかるようにこの方剤には芍薬甘草湯が隠されています。

芍薬と甘草の働きにより腹部の緊張を緩和させ、痛みを取り除きます。

また柴胡が胸脇部の張りを取り除き、枳実が胸腹部の痛みを取り除きます。

柴胡、枳実は理気作用で、胸腹部で起こっている気の滞りを改善します。

肝気鬱結

この方剤を学ぶ上でキーワードとなるのが『 肝気鬱結 (かんきうっけつ)』です。

東洋医学においての肝は気の流れをスムーズにし、抗ストレス作用( 疎肝作用 )がありますが、ストレスがたまりすぎると肝臓に気が溜まってしまいます。この状態を『肝気鬱結』と呼びます。

肝気鬱結になると抑うつ、ため息、イライラなどの精神症状や胸腹部の張り、痛み、女性の場合には生理痛(張るような痛み)が起こります。

肝気鬱結を改善するためには肝に溜まった気を流す必要があるので四逆散が非常に有効です。

四逆散が適している人は?

イライラ、不眠、不安、抑うつなどの精神症状などを伴う、腹部の張りや痛みの症状がある人です。手足の冷えを伴っている場合も多いです。

女性の場合には生理不順や生理痛なども当てはまります。